「正しくできなくても、行くことに意味がある」
春彼岸に一人で初めてお墓参り。マナーを一から調べた話
Y.Mさん
喪主を経験して気づいた「知らなさ」
昨年の秋、夫が突然の病気で亡くなりました。38歳でした。葬儀社の方に手を引かれながら喪主を務め、四十九日も乗り越えました。でも、気がついたら「お墓参りをどうやって一人でするのか」がわからない自分がいました。
夫の実家のお墓は、東京都内の霊園にあります。義父母はすでに他界しており、夫の兄弟も遠方に住んでいます。「行きたい」という気持ちはあるのに、足が出ない。何を持っていけばいいの?作法は?お線香は何本?水はかけるの?
無知がこんなに怖いと感じたのは初めてでした。
ネットと本で一から調べた
春彼岸が近づいてきて、「このまま行けないのは嫌だ」と思い、真剣に調べました。
持ち物については、お花(白菊や百合が定番)、お線香、ライター、手桶・柄杓(霊園に備え付けがある場合も)、雑巾・スポンジ(墓石の清掃用)、数珠(なければなくてもよい)というのが基本とわかりました。
作法は、①水をかけて墓石を清める、②お花を供える、③お線香を供える(宗派によって本数が異なるが、1〜3本が一般的)、④手を合わせて拝む、という流れが標準的とのこと。
お線香は風が強い日は消えやすいので、ライターを2個持っていくと安心だということも、体験談から学びました。
霊園のルールとして「水以外のお供えを置きっぱなしにしない」「持参したお花以外のものは供えない」といった注意も確認しました。
春彼岸の朝に
3月の春彼岸の朝、お花屋さんで白い菊の束を買い、霊園に向かいました。平日だったので、霊園は静かでした。
墓石を水で丁寧に拭き、調べた通りに花を供え、お線香を3本立てました。風があって、一度消えましたが、2回目のライターで何とかつきました。
手を合わせて、「遅くなってごめんね」と心の中で話しかけました。言葉が出てこなくて、しばらくそのまま立っていました。
帰り道、気持ちが軽くなっているのを感じました。「正しくできなくても、行くことに意味がある」と思えた瞬間でした。
今は、春と秋の彼岸、お盆、夫の命日に加えて、「会いたくなったとき」にも行くようにしています。作法はまだ完璧ではないかもしれないけれど、毎回ていねいに手を合わせています。それでいいのだと、今は思えています。
※ この体験談は、編集部が一般的なご相談事例をもとに再構成したものです。登場する人物名・地名・具体的な状況はすべてフィクションであり、実在の人物・団体等とは一切関係ありません。