「距離のせいにして、逃げていたのかもしれない」
関西から東北の墓に行けなかった3年間|代行サービスで後悔が消えた
H.Nさん
700キロという現実
両親が眠る墓は、宮城県北部の小さな町にあります。私は30年前に大阪に転居し、仕事と家庭に追われる日々を送ってきました。若い頃は年に2回は帰省していましたが、60代になってからは体力も落ち、片道4時間以上の移動が億劫になっていました。
最後に墓参りに行ったのは2021年の秋。その後はコロナを理由に、さらには「膝が痛い」「天気が悪い」と言い訳を重ねて、3年以上経っていました。
「距離のせいにして、逃げていたのかもしれない」。正直、そう感じていました。
息子からの一言
ある日、同居している息子が「お父さん、一度プロに頼んでみたら?」と言いました。最初は「他人に親の墓を触らせるなんて」と抵抗がありました。
息子がスマホで調べてくれた業者のサイトを見ると、東北エリアにも対応していて、作業前後の写真を20枚以上送ってくれるとのこと。口コミを読むと「遠方に住む方に好評」という言葉が並んでいました。
料金は1回あたり1万2,000円。正直、「高いな」と思いました。でも、自分が行くと新幹線代だけで往復3万円以上かかります。それに、3年間行けなかった事実があります。費用対効果というより、「これしか手がない」という気持ちで申し込みました。
届いた写真22枚
作業から2日後、メールで22枚の写真が届きました。
画面を開いた瞬間、言葉が出ませんでした。
苔で緑がかっていた墓石が白く輝いていました。3年分の泥汚れが落ち、彫られた文字がくっきり浮かび上がっています。周囲の玉砂利もきれいに整えられ、花立てには白い菊が供えられていました。
「父さん、母さん」と心の中で呼びかけました。涙が出るかと思ったのですが、出てきたのは深い安堵感でした。長い間の罪悪感が、すっと消えていく感覚がありました。
以来、春彼岸・お盆・秋彼岸の年3回、代行を依頼しています。費用は年間3万6,000円。自分で行くよりも安く、何より「ちゃんと見てもらっている」という確信を持てるようになりました。来年こそは自分でも行くつもりです。今度は罪悪感からではなく、純粋に手を合わせに行くために。
※ この体験談は、編集部が一般的なご相談事例をもとに再構成したものです。登場する人物名・地名・具体的な状況はすべてフィクションであり、実在の人物・団体等とは一切関係ありません。