「自然の中に還る、それが一番しっくりきた」
樹木葬を選んで2年。後悔しなかった理由
T.Yさん
妻の「自然に還りたい」という言葉
妻は長野の山で育った人でした。山が好きで、花が好きで、晩年は「死んだら自然に還りたい」とよく言っていました。当時は冗談半分に「じゃあ山に撒くか」などと笑っていましたが、72歳で妻が先立つことになり、その言葉が現実のものとして迫ってきました。
長男夫婦は「普通のお墓を建てれば」と言いました。確かに、世間的にも「一般的なお墓が安心」という考え方はわかります。でも、妻の言葉が頭から離れませんでした。
調べてみると、長野県内にも樹木葬の霊園がいくつかありました。里山の中にある霊園で、春は桜、秋は紅葉に囲まれた場所です。見学に行った瞬間、「ここだ」と思いました。
選ぶまでの迷い
決断までには2か月かかりました。一番の迷いは「樹木葬は後から後悔しないか」という点でした。一般墓に比べ、石碑がない分「本当にここにいるのか」という実感が薄れないか不安でした。
また、長男から「孫が生まれたとき、ちゃんとお墓参りできる場所にしてほしい」という要望もありました。それは正直な気持ちだと受け止め、霊園の担当者に確認しました。樹木葬でも永代にわたって管理され、区画には名前のプレートが設置されること、春と秋には管理者が清掃を行うこと、を確認して安心しました。
費用は一区画80万円。一般墓に比べると安く、永代供養込みなので管理費も不要です。
2年経った今
妻が旅立って2年、樹木葬を選んだことへの後悔はありません。
その理由は主に3つあります。
1つ目は「お参りに行くのが嬉しい場所」であること。一般墓地と違い、四季折々の植物に囲まれた空間は、気持ちが明るくなります。「お墓参りが辛い」という感覚がありません。
2つ目は「妻らしい場所」であること。石碑ではなくシンボルツリーのそばに眠る。妻が生前に望んでいた「自然に還る」が、文字通り叶っています。
3つ目は「自分もここに入ると決めていること」。私も同じ区画に合葬される予定です。老いていく中で「後は妻のいる場所に行くだけ」という思いが、穏やかな日々を支えてくれています。
樹木葬が全員に向いているとは言いません。でも「自然が好きだった人を、自然の中に」という選択は、間違っていなかったと確信しています。
※ この体験談は、編集部が一般的なご相談事例をもとに再構成したものです。登場する人物名・地名・具体的な状況はすべてフィクションであり、実在の人物・団体等とは一切関係ありません。