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親の家を相続したけど住まない|5つの選択肢を徹底比較

相続した実家に住む予定がない場合の選択肢は「賃貸・売却・寄付・相続放棄・訳あり買取」の5つ。放置すると固定資産税が年10〜30万円発生し続け、建物価値は年4〜6%下落、特定空家指定で税が6倍になるリスクもあります。ケース別の最適解と判断基準を完全解説します。

13分で読めます最終更新: 2026.05.05

この記事の監修者

お墓のミカタ 編集長

お墓のミカタ編集部

目次

  1. 1.「住まない実家」を放置するとどんな問題が起きる?
  2. 2.選択肢1:賃貸に出す(収益化する)場合のメリット・デメリットは?
  3. 3.選択肢2:売却する(一括で現金化)場合の方法と節税期限は?
  4. 4.選択肢3:寄付・無料譲渡は実際に可能か?
  5. 5.選択肢4:相続放棄する場合の重要な注意点は?
  6. 6.選択肢5:訳あり物件として専門業者に売る方法とは?
  7. 7.5つの選択肢のうち、どれを選べばいい?ケース別の判断基準

「住まない実家」を放置するとどんな問題が起きる?

「とりあえず置いておこう」という選択は、日々コストが積み上がる選択でもあります。住む予定のない実家を放置すると、以下の問題が現実化していきます。

問題1:固定資産税が毎年発生し続ける

戸建ての固定資産税は年10〜30万円が一般的。5年放置すれば50〜150万円のコストです。住まないにもかかわらず、毎年支払い続けることになります。

問題2:建物価値が年4〜6%下落する

人が住まない家は急速に老朽化します。日本住宅性能検査協会の資料によると、空き家の建物価値は年4〜6%下落するとされており、5年放置すれば建物価値はほぼゼロになることも珍しくありません。

問題3:「特定空家」指定で固定資産税が6倍に

空き家対策特別措置法により、管理されていない空き家は「特定空家」に指定される可能性があります。指定を受けて勧告された場合、住宅用地の固定資産税軽減特例(6分の1)が解除され、固定資産税が実質6倍になります。

問題4:倒壊・近隣トラブル・損害賠償リスク

老朽化した空き家から飛ぶ屋根材、伸びた庭木、害獣の発生は近隣トラブルに直結します。最悪の場合、空き家の倒壊で隣家を損傷させると、所有者に数百万〜数千万円の損害賠償が命じられる事例も報告されています。

重要

「住む予定がない実家」を抱えたら、早く方針を決めることが最大の節約になります。1年放置するごとに数十万円のコストが発生するため、相続後すぐに5つの選択肢から方針を選びましょう。

▶関連記事:空き家を放置する7つのリスク

選択肢1:賃貸に出す(収益化する)場合のメリット・デメリットは?

実家を貸し出して家賃収入を得る方法です。立地が良ければ収益化できますが、向き不向きがあります。

賃貸に向いているケース

  • 駅徒歩15分圏内など立地が良い
  • 築年数が比較的浅い(築20年以下)
  • 周辺の賃貸需要が安定している
  • リフォーム費用を回収できる見込みがある

必要な初期投資の目安

作業費用相場
ハウスクリーニング5万〜15万円
壁紙・床の張り替え30万〜80万円
水回りリフォーム(必要な場合)50万〜150万円
エアコン・給湯器交換20万〜50万円
合計100万〜300万円

賃貸のリスク

  • 空室リスク:借り手が見つからない期間は完全な持ち出しになる
  • 家賃滞納:滞納者の立ち退きには弁護士費用も発生する
  • 修繕義務:給湯器・エアコン故障時は貸主負担が原則
  • 将来の売却が難しくなる:賃貸中の物件は購入希望者が投資家に限定される
注意

地方や築古の物件は、賃貸需要が見込めず「貸せない」場合があります。最初に地元の不動産会社に賃料相場と空室率を確認してから判断しましょう。

選択肢2:売却する(一括で現金化)場合の方法と節税期限は?

最も一般的な選択肢です。物件を不動産会社経由で売却し、一括で現金化します。

売却の3つの方法

方法特徴期間価格
不動産仲介市場価格に近い金額で売却3〜6ヶ月高め
不動産買取確実・スピーディ最短1週間仲介より2〜3割低め
訳あり専門業者仲介で売れない物件にも対応最短1〜2週間市場価格の40〜70%

売却のメリット

  • 一括で現金化できる
  • 維持コストから完全に解放される
  • 相続税の納税資金にも充てられる
  • 心理的負担が一気に軽減される

売却のデメリット

  • 売却益が出ると譲渡所得税が発生する
  • 立地・状態によっては買い手が見つかりにくい
  • 仲介手数料などの諸費用がかかる
ヒント

売却を選ぶなら、相続から3年10ヶ月以内がベストです。「相続税の取得費加算特例」「被相続人の居住用財産の3,000万円特別控除」など、節税特例を最大限活用できる期間です。

▶関連記事:実家じまいの全費用|遺品整理・解体・売却まで完全解説

選択肢3:寄付・無料譲渡は実際に可能か?

「お金にならなくても、誰かに使ってもらえれば」と寄付を考える方は多いですが、実際は寄付できないケースが大半です。

自治体への寄付の現実

多くの自治体は、寄付を受け入れる意思と財源がありません。受け入れる側にも管理コストが発生するため、寄付の大半は断られるのが実情です。受け入れられるのは、自治体が公共用地として活用できる立地・形状の物件に限られます。

NPO・社会福祉法人への寄付

子ども食堂・障害者支援団体などへの寄付の道もありますが、こちらも建物の状態と立地次第です。古い戸建てを引き受けてくれる団体は限られます。

個人への無料譲渡

「タダでもいいから引き取ってほしい」というニーズに対して、空き家バンク・家いちばなどの無料譲渡プラットフォームがあります。地方の物件で活用されるケースが増えています。

寄付・無料譲渡のリスク

  • 引き取った人がきちんと管理・解体してくれるとは限らない
  • 譲渡後にトラブル(境界・残置物)が発生するケースがある
  • 譲渡側に贈与税が発生する場合がある
注意

寄付・無料譲渡は「お金がもらえない代わりに簡単に手放せる」と思われがちですが、手続きの手間と税務リスクは売却と同様です。タダでも引き取り手が見つからなければ、結局は売却・解体・放棄のいずれかを選ぶことになります。

選択肢4:相続放棄する場合の重要な注意点は?

相続そのものを放棄して、実家の所有権を持たない方法です。

相続放棄の概要

  • 相続を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続き
  • 申立て費用:約3,000〜5,000円
  • 司法書士・弁護士に依頼した場合:3万〜10万円

相続放棄が有効なケース

  • 親に多額の借金があり、資産を上回る場合
  • 実家が地方の売れない物件で、維持費だけがかかる場合
  • 親族関係が複雑で関わりたくない場合

相続放棄の重大な注意点

1. すべての相続を放棄することになる

実家だけを放棄して預金や他の財産は受け取る、ということはできません。プラスの財産も含めて、すべての相続を放棄することになります。

2. 期限が3ヶ月と短い

相続を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所への申立てが必要。葬儀や手続きに追われている間に期限が過ぎてしまうケースが多いため、早めの判断が必要です。

3. 「管理義務」が残ることがある

民法940条により、相続放棄しても「次の管理者が決まるまで」管理義務が残る場合があります。次順位の相続人や相続財産清算人が現れない場合、放棄したのに実質的な管理を続けなければならないケースもあります。

重要

相続放棄は「実家を簡単に手放せる」方法ではありません。他の財産も全て放棄することになる重大な決断です。実家の維持コストと他財産の総額を比較し、慎重に判断する必要があります。

選択肢5:訳あり物件として専門業者に売る方法とは?

通常の不動産仲介では売れにくい物件を、専門業者に買い取ってもらう方法です。

専門業者の活用が向いているケース

  • 地方・田舎の築古物件
  • 再建築不可物件
  • 事故物件・心理的瑕疵がある物件
  • 共有名義で他の相続人と意見が合わない場合
  • 借地権付き建物
項目内容
メリット建物がそのままでも買取可能、最短1〜2週間で現金化、近隣に売却を知られない
デメリット買取価格は市場価格の40〜70%程度
業者選びのポイント最低3社から査定比較(最大2倍の差が出ることがある)

お墓のミカタが訳あり不動産の売却経験者65人に調査したところ、「複数社に査定を依頼してよかった」と回答した割合は88%、「最高額と最低額の差が100万円以上あった」と答えた割合は52%にのぼりました(お墓のミカタ調べ、2025年9月実施)。

ヒント

訳あり物件の売却では業者選びで数百万円の差が出ることがあります。面倒でも複数業者への査定依頼は必須です。

▶関連記事:訳あり不動産はこう売る

5つの選択肢のうち、どれを選べばいい?ケース別の判断基準

5つの選択肢を、費用・スピード・確実性の観点で比較します。

選択肢収入スピード確実性初期費用向く物件
賃貸継続収入遅い不安定高い都市部・築浅
売却(仲介)一括3〜6ヶ月やや不安定低い標準的な物件
売却(買取)一括最短1週間高い低い幅広い物件
寄付・無料譲渡なし不定低い低い限定的
相続放棄なし3ヶ月以内高い低い借金超過の場合
訳あり買取一括最短1〜2週間高い低い地方・訳あり

ケース別のおすすめ選択肢

都市部の駅近・築20年以内の戸建て

→ 売却(仲介)。立地が良ければ市場価格に近い金額で売却可能。

地方の築40年超の戸建て

→ 訳あり物件専門業者の買取。一般仲介では半年以上売れないケースが多く、固定資産税だけが増えていきます。

兄弟と共有名義で意見が合わない

→ 自分の持分のみを共有持分専門業者に売却。全員の同意がないと全体は売れませんが、自分の持分のみであれば売却可能です。

相続税の納税期限が迫っている

→ 訳あり物件専門業者の買取。相続税の納付期限は相続を知った日から10ヶ月以内です。

親の借金が資産を上回る

→ 相続放棄(3ヶ月以内に判断)。迷わず相続放棄を検討すべきです。

「父が亡くなり、地方に築50年の実家が残されました。最初はリフォームして賃貸を検討しましたが、見積もりで300万円。周辺の家賃相場は月3万円程度で、回収まで10年かかると判明。最終的に訳あり物件専門業者に依頼し、現状渡しで250万円で売却。維持費の負担から解放されてホッとしました」(N.Tさん・40代・東京都)

ヒント

多くのケースで「売却(または訳あり買取)が最適解」になります。賃貸は初期投資の回収難易度が高く、寄付は受け入れ先が見つからず、相続放棄は他の財産も失います。「悩んでいる時間」自体がコストになることを意識しましょう。

よくあるご質問

Q5つの選択肢のうち、最も多くの人が選んでいるのはどれですか?

A.売却(仲介・買取・訳あり買取を含む)が最も多く、相続不動産の処分の約7〜8割を占めるとされています。賃貸は立地条件を満たす一部のケース、相続放棄は借金がある場合に限定されるのが実情です。

Q相続放棄と訳あり買取、迷ったらどちらを選ぶべき?

A.「親の財産が借金を含めてマイナスなら相続放棄」「実家以外の預貯金などプラスの財産があるなら訳あり買取」が目安です。相続放棄はすべての財産を放棄するため、慎重な判断が必要です。

Q賃貸に出してから後で売却することはできますか?

A.可能ですが、賃貸中の物件は購入希望者が「投資用物件」に限定されるため、価格が下がる傾向があります。将来的な売却を考えるなら、最初から売却を選ぶ方が手取り額が多くなることが多いです。

Q寄付ができないと言われた場合、どうすればよいですか?

A.自治体・NPOへの寄付が断られた場合は、空き家バンク・家いちばなどの無料譲渡プラットフォーム、または訳あり物件専門業者の買取を検討しましょう。タダでも引き取り手がいない場合、訳あり買取が現実解になります。

Q5つの選択肢の判断は、いつまでにすればよいですか?

A.相続放棄は3ヶ月以内、相続税の納税は10ヶ月以内、相続税の取得費加算特例は3年10ヶ月以内が期限です。少なくとも相続から1年以内には方針を決めることをおすすめします。

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