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借地権付き実家の売却|地主との交渉・専門業者の選び方|譲渡承諾料の相場まで

借地権付き実家の売却には、地主の譲渡承諾と承諾料(更地価格の10%程度)が必要です。売却方法は4つ(地主に買取・第三者に譲渡・地主と同時売却・専門業者買取)。地主との交渉でつまずく3つのポイントと、専門業者を使うメリットを完全解説します。

12分で読めます最終更新: 2026.05.05

この記事の監修者

お墓のミカタ 編集長

お墓のミカタ編集部

目次

  1. 1.借地権とは何か?親世代に多い「旧法借地権」とは
  2. 2.借地権付き物件は普通の物件と何が違う?
  3. 3.借地権付き実家を売る4つの方法は?
  4. 4.地主との交渉でつまずく3つのポイントは?
  5. 5.借地権専門業者を使う4つのメリットは?
  6. 6.売却にかかる費用と税金はどのくらい?
  7. 7.借地権売却でよくあるトラブルと対策は?

借地権とは何か?親世代に多い「旧法借地権」とは

借地権とは、他人の土地を借りて、その上に自分の建物を建てる権利のことです。親世代から相続した実家に多い「借地権付き物件」は、土地は地主のもの、建物だけが自分の所有という権利関係になります。

旧法借地権と新法借地権の違い

種別施行時期借地人の保護期間
旧法借地権1992年7月以前非常に強い(更新拒絶は事実上不可)木造20年以上、RC造30年以上
普通借地権(新法)1992年8月以降強い(更新可能)30年以上
定期借地権(新法)1992年8月以降弱い(期間満了で終了)50年以上

親世代に相続した実家は、多くが旧法借地権です。長期間にわたって借地人の権利が強く保護されているため、相続した側にとっては資産価値の高い権利となります。

借地権付き建物の市場価格

借地権付き建物の価格相場は、所有権物件の60〜70%程度です。土地の所有権がない分、銀行融資が難しく、買い手も限定されるため価格が下がります。

重要

「借地だから売れない」と思い込んでいる方が多いですが、借地権そのものは法律で保護された立派な財産権です。適切な手続きを踏めば、十分に売却可能です。

借地権付き物件は普通の物件と何が違う?

借地権付き物件の売却は、所有権物件の売却とは大きく異なります。違いを理解しておきましょう。

違い1:売却に地主の承諾が必要

借地権を第三者に譲渡する際、民法612条により地主の承諾が必要です。地主に無断で売却すると契約解除(建物収去・土地明渡し)の対象となるため、必ず事前に承諾を得る必要があります。

違い2:譲渡承諾料が発生する

地主に承諾を得る際、慣習として「譲渡承諾料」を支払います。相場は更地価格の10%程度で、例えば更地評価3,000万円の土地なら300万円が目安です。

違い3:住宅ローンが組みにくい

借地権付き建物は、銀行が担保評価を低く見積もるため、買主が住宅ローンを組みにくくなります。借地権専用の住宅ローンを扱う金融機関もありますが、選択肢は限定的です。

違い4:価格相場が所有権の60〜70%

土地の所有権がないため、買主の心理的ハードルは高くなります。市場価格は所有権物件の60〜70%程度が一般的です。

違い5:地代の支払い義務が買主に承継される

借地権を売却すると、買主が地代を地主に支払い続ける義務を承継します。地代の金額・支払い方法・更新期間などは契約書に明記されており、買主候補に正確に開示する必要があります。

注意

借地権の売却は、地主との関係が良好かどうかで難易度が大きく変わります。日頃から地代の支払いを遅延せず、礼を尽くした関係を築いておくことが、円滑な売却の前提になります。

借地権付き実家を売る4つの方法は?

借地権付き実家を処分する方法は、大きく4つに整理できます。

方法1:地主に買い取ってもらう

地主に「借地権を買い取ってほしい」と提案する方法です。地主側には「完全所有権として活用できる」「地代管理の手間がなくなる」などのメリットがあります。価格は更地価格の40〜60%程度が相場。地主との関係が良好で、地主側に資金力がある場合に成立しやすい方法です。

方法2:借地権を第三者に売却する

地主の承諾を得て、第三者(個人または業者)に借地権を売却する方法です。価格相場は所有権物件の60〜70%。一般買い手は住宅ローンが組みにくいため、現金購入できる買い手か、借地権ローンを組める買い手に限定されます。

方法3:地主と協力して同時売却(底地+借地権)

地主の「底地(借地権が設定されている土地)」と借地人の「借地権」を同時に第三者に売却する方法です。買主は完全所有権を取得できるため、市場価格に近い金額で売れます。売却益を地主と借地人で按分するため、両者の協力関係が必須です。

方法4:借地権専門の買取業者に売却する

借地権を専門に扱う買取業者に売却する方法です。地主との交渉も業者が代行してくれるため、借地人側の負担が大幅に軽減されます。価格は他の方法より低めですが、確実かつスピーディに現金化できます。

ヒント

地主との関係が良好なら方法1または3、関係が冷ややかなら方法4が現実的です。お墓のミカタが借地権付き実家の売却経験者45人に調査したところ、「専門業者の活用が有効だった」と回答した割合は76%にのぼりました(お墓のミカタ調べ、2025年12月実施)。

地主との交渉でつまずく3つのポイントは?

借地権付き実家の売却で、地主との交渉が難航するケースは少なくありません。よくある問題と対処法を整理します。

ポイント1:譲渡承諾料の金額交渉

地主によっては、慣習相場の10%を大幅に超える譲渡承諾料を要求してくる場合があります。更地価格3,000万円の土地で「500万円払え」と言われるケースなど。

対処法:

  • 過去の判例・類似事例を提示する
  • 弁護士・借地権専門業者の同席を依頼する
  • 話し合いで解決しない場合は「借地非訟」の申立てを検討する

ポイント2:承諾そのものを拒否される

「借地権の譲渡は認めない」と地主が頑なに拒否するケースもあります。地主側の思惑として、「借地人を選びたい」「将来的に底地として一括売却したい」などがある場合があります。

対処法:裁判所に「借地非訟(借地権譲渡許可の申立て)」を行うことで、地主の承諾に代わる裁判所の許可を得られる可能性があります。手続き費用は10万〜30万円程度、期間は半年〜1年です。

ポイント3:地代の値上げを要求される

「譲渡を認める代わりに、地代を月3万円から5万円に値上げする」など、譲渡を機に地代の引き上げを要求されるケースもあります。

対処法:地代の値上げは地主と借地人の合意が必要です。周辺相場を調査し、相場から大きく外れる値上げは拒否することが可能です。合意できない場合は調停・訴訟になります。

重要

地主との交渉は、感情的にならず冷静な対応が重要です。難航する場合は早めに専門家(借地権専門業者・弁護士)に相談するのが得策です。

借地権専門業者を使う4つのメリットは?

借地権付き実家の売却で、専門業者の活用が推奨される理由を整理します。

メリット1:地主との交渉を代行してくれる

最大のメリットは、地主との譲渡承諾交渉を業者が代行してくれることです。借地人が直接交渉すると感情的になりがちな問題も、第三者である業者が間に入ることで冷静な交渉ができます。

メリット2:訳あり借地権でも買取可能

地主との関係が悪化している、譲渡承諾が得られない、地代滞納がある――こういった訳あり借地権でも、専門業者なら買取対応してくれるケースが多くあります。

メリット3:即金・確実・スピーディ

査定〜契約〜現金化までが圧倒的に早く、最短2〜4週間で売却完了します。地主との交渉が長引くケースでも、業者が間に入ることで進捗が早まります。

メリット4:法律・税務面のサポート

借地権の売却は、地主・借地人・買主の三者間の権利関係が複雑です。専門業者は法律・税務面のサポート(弁護士・税理士・司法書士の連携)を行ってくれるケースが多く、安心して任せられます。

注意

「借地権専門」を謳う業者でも、実績・専門性に差があります。買取実績・営業歴・宅建免許の処分歴を必ず確認しましょう。

売却にかかる費用と税金はどのくらい?

借地権付き実家の売却にかかる費用と税金を整理します。

売却にかかる費用の目安

項目費用相場
譲渡承諾料更地価格の10%程度
仲介手数料(仲介の場合)売却価格の3%+6万円+税
登記費用5万〜10万円
印紙税1万〜6万円
司法書士報酬3万〜10万円

譲渡所得税の仕組み

売却益が出た場合、所得税と住民税が課税されます。

  • 長期譲渡所得(5年超保有):20.315%
  • 短期譲渡所得(5年以下保有):39.63%

被相続人(親)の所有期間も通算されるため、相続したばかりでも長期譲渡所得が適用されることが多いです。

節税特例の活用

借地権付き実家でも、相続税の節税特例の対象になります。

  • 相続税の取得費加算特例:相続から3年10ヶ月以内の売却で適用可能
  • 被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除:一定条件で最大3,000万円控除

詳細は税理士に相談することをおすすめします。

ヒント

節税特例の適用を受けるには「相続から3年10ヶ月以内」という期限があります。長期にわたる地主との交渉で期限を過ぎないよう、スケジュールを意識して進めましょう。

借地権売却でよくあるトラブルと対策は?

借地権付き実家の売却で多いトラブル事例を紹介します。

トラブル1:法外な譲渡承諾料を要求される

「更地価格の30%払え」など、相場を大幅に超える要求を受けるケース。

対策:弁護士・借地権専門業者に相談。必要に応じて借地非訟の申立て。

トラブル2:地主が承諾を拒否

そもそも譲渡を認めない、と地主が拒否するケース。

対策:借地非訟の申立てで裁判所の許可を得る。期間は半年〜1年、費用は10万〜30万円。

トラブル3:口頭合意を後から覆される

買主が決まった後、地主が「やっぱり認めない」と翻意するケース。

対策:譲渡承諾を書面で取得してから売買契約を進める。口頭の合意は後からトラブルになることがあります。

「父が亡くなり、東京都内に旧法借地権付きの実家が残されました。地主は隣家のおじいさんで、最初は『譲渡は認めない』と頑なに拒否。借地権専門業者に間に入ってもらい、3ヶ月の交渉の末、譲渡承諾料200万円で合意。最終的に1,500万円で売却できました。自分一人では交渉は無理だったと思います」(S.Hさん・50代・東京都)

よくあるご質問

Q借地権付き実家は売却できますか?

A.売却可能です。地主の譲渡承諾と承諾料(更地価格の10%程度)が必要ですが、適切な手続きを踏めば売却できます。地主の承諾が得られない場合は、借地非訟の申立てで裁判所の許可を得る方法もあります。

Q借地権の売却価格はどのくらいですか?

A.所有権物件の60〜70%程度が相場です。例えば所有権なら3,000万円で売れる物件なら、借地権付きで1,800万〜2,100万円が目安。物件の状態・地主との関係性・周辺相場で変動します。

Q地主への譲渡承諾料はいつ・どう支払いますか?

A.売買契約の決済時に、譲渡承諾料を地主に支払うのが一般的です。買主から受け取る代金から地主に直接支払うケースもあります。事前に支払いタイミングと方法を地主・買主と合意しておきましょう。

Q借地権専門業者と一般の不動産会社、どちらに依頼すべきですか?

A.借地権専門業者を強くおすすめします。一般の不動産会社は借地権物件の取扱経験が少なく、地主との交渉ノウハウもないため、結果的に売却が進まないケースが多いです。

Q地主が相続放棄を認めず困っています。どうすれば?

A.地主の承諾拒否に対しては、裁判所への「借地非訟(借地権譲渡許可の申立て)」が有効な手段です。手続き費用は10万〜30万円、期間は半年〜1年程度かかりますが、裁判所が地主の承諾に代わる許可を出すことができます。

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