「お父さんのところに行きやすくなったね」と母が言った
足の悪い母のために納骨堂を選んだ|駅から5分、雨でも会いに行ける
K.Mさん
雨の日は霊園に行けなかった
父が亡くなったのは3年前の冬です。生前「山の見える霊園がいい」と言っていたので、神奈川の郊外にある霊園を選びました。広くて緑が多く、父が喜びそうな場所でした。
でも、だんだん問題が出てきました。母の膝が悪くなってきたのです。
霊園最寄りの駅からバスで20分、さらに坂を歩いて10分。晴れた日でも母には辛くなってきました。雨の日は「今日はやめておこう」と家で手を合わせるだけ。
「お父さんに会いに行けない」と母がぽつりと言った日、私は何かを変えなければと思いました。
納骨堂という選択肢を知ったのは偶然だった
改葬(お墓の引越し)を考え始めたとき、最初は「別の霊園に移すのかな」と漠然と考えていました。納骨堂という選択肢をちゃんと調べたのは、知人から「駅の近くに新しい施設ができた」と聞いたのがきっかけです。
見学に行ったのは、横浜駅から歩いて5分の自動搬送型納骨堂でした。
受付でICカードをかざすと、個別のブースに遺骨が運ばれてきます。椅子に座ったままお参りできる。母でも問題なく使えそうでした。
費用は1区画90万円。郊外の霊園より高かったですが、「これなら母が雨の日でも会いに行ける」と思いました。
改葬の手続きは思ったより大変ではなかった
正直、手続きが面倒そうで後回しにしていました。でも実際に動き始めると、思ったほど複雑ではありませんでした。
手順は大きく3つです。まず現在の霊園から「埋葬証明書」を発行してもらう。次に移転先から「受入証明書」を取得する。そして役所で「改葬許可申請書」を提出する。
書類集めに2週間ほどかかりましたが、各窓口の担当者が丁寧に説明してくれました。石材店への墓石撤去の依頼と閉眼供養の手配はすべて、霊園の管理事務所が紹介してくれた業者に任せました。
費用の総額は、撤去・整地で約25万円、新しい納骨堂で90万円。合計約115万円でした。
「お父さんのところに行きやすくなったね」
引越しが完了してから最初のお参りの日、母と一緒に納骨堂へ行きました。
エレベーターで上がり、受付でカードをかざす。1分もしないうちに父の遺骨が目の前に来る。母は椅子に座ったまま、ゆっくり手を合わせていました。
帰り道、母が言いました。
「お父さんのところに行きやすくなったね」
それだけで、選んで良かったと思えました。
今は月に2〜3回、二人で会いに行っています。以前は年に数回が精一杯でした。遺骨の場所が変わっただけで、こんなに気持ちが変わるとは思いませんでした。
※ この体験談は、編集部が一般的なご相談事例をもとに再構成したものです。登場する人物名・地名・具体的な状況はすべてフィクションであり、実在の人物・団体等とは一切関係ありません。