墓じまいとは?費用・流れ・手続きを完全解説|メリット・デメリットやトラブル対策も
墓じまいは、家族との話し合い、改葬先の確保、改葬許可申請、墓石撤去・墓所返還の順に進めます。費用は墓所の条件で異なり、鎌倉新書の2026年利用者調査では実施費用31〜70万円が最多でした。手続きの流れと準備を解説します。
ながら聴きにどうぞ。記事を読まなくても内容がわかります。
目次
墓じまいとは何か?なぜ今急増しているのか
墓じまいとは、現在のお墓を撤去して更地にし、墓地の管理者に敷地を返還することです。取り出したご遺骨は、別の場所へ移して供養(改葬)するのが一般的です。
厚生労働省「衛生行政報告例」によると、改葬件数は年間約15万件に達し、20年間で約2倍に急増しています。
墓じまいは「お墓を粗末にすること」ではありません。ライフスタイルに合わせて新しい供養の形を選び、子や孫に負担を残さないための前向きな決断として選ぶ方が増えています。
親が亡くなった後は、お墓だけでなく実家の整理が同時に必要になることも多くあります。実家じまいの進め方は実家じまいとは?進め方・費用・売れない実家の対処法を完全ガイドでまとめています。
墓じまいのメリット・デメリットは何か?
墓じまいに踏み切る前に、まずは良い点と注意すべき点を理解しておきましょう。
3つのメリット
- 維持・管理の負担軽減:毎年の管理料や、遠方へのお参りの交通費・体力的負担がなくなります。
- 無縁墓になる心配がない:後継者がいなくても、お墓が無縁仏として荒れ果てるのを防ぐことができます。
- 供養がしやすくなる:自宅の近くやアクセスの良い場所へ移すことで、気軽にお参りできるようになります。
2つのデメリット・注意点
- 親族との合意形成が必要:「先祖代々のお墓を無くすなんて」と親戚から反対されるケースがあります。事前の話し合いが最大の予防策です。
- 一時的な金銭的負担:墓石の撤去や新しい納骨先の確保など、まとまった初期費用(数十万〜百万円程度)が発生します。
墓じまいの手続きと流れはどうなっている?(全6ステップ)
墓じまいは、行政手続きと並行して進める必要があります。全体で約2〜3ヶ月の期間を見込んでおきましょう。
1. 親族の同意を得る
まずはご家族・ご親族と十分にお話し合いをしましょう。費用の分担や新しい納骨先についても、全員が納得するまで決めることがトラブル防止の第一歩です。
2. 現在の墓地管理者に相談する(お寺への離檀の申し出)
菩提寺などの墓地管理者に、墓じまいの意向を伝えます。お寺の檀家をやめる「離檀(りだん)」となるため、いきなり手続きを進めるのではなく、「長年お世話になったお礼」とともに丁寧に相談する姿勢が大切です。
3. 新しい納骨先を決め「受入証明書」をもらう
ご遺骨の引っ越し先(樹木葬、永代供養墓、納骨堂など)を契約し、管理者から「受入証明書」を発行してもらいます。
4. 役所で「改葬許可」の行政手続きを行う
- 現在のお墓がある市区町村の役所で「改葬許可申請書」を入手します。
- 現在のお墓の管理者から「埋蔵証明書(埋葬証明書)」に署名・捺印をもらいます。
- 役所に申請書・受入証明書・埋葬証明書を提出し、「改葬許可証」を発行してもらいます。別の墓地・納骨堂へ移す場合の手続きです。散骨や自宅保管の場合は扱いを所在地の自治体に確認してください。
5. 閉眼供養(魂抜き)と遺骨の取り出し・墓石の撤去
僧侶に読経をお願いして「閉眼供養」を行います。その後、石材店が遺骨を取り出し、墓石を解体・撤去して更地に戻し、管理者に返還します。
6. 新しい納骨先へご遺骨を移す(改葬)
取り出したご遺骨と「改葬許可証」を新しい管理者に提出し、納骨します。これで全ての手続きが完了です。
散骨を選ぶ場合は、受入証明書を前提とする上記の流れと異なります。墓じまい後に散骨する場合の書類と確認順序をご覧ください。
墓じまいをして散骨を選ぶ場合の行政手続きと事業者の必要書類は、墓じまい後に散骨するには?で分けて確認できます。
別の墓地・納骨堂へ移す場合の流れ(全6ステップ)
親族の同意・話し合い
親戚間で費用や改葬先について合意を得ます
お寺(管理者)への相談
菩提寺へ離檀の意向と感謝を伝えます
新しい納骨先を決める
契約して「受入証明書」を発行してもらいます
役所で「改葬許可」申請
書類をそろえて「改葬許可証」を入手します
閉眼供養・墓石撤去
お性根抜きを行い、石材店が墓石を解体・更地にします
新しい納骨先への引っ越し
取り出したご遺骨と許可証を持参し、納骨します
墓じまいの費用相場はいくら?安く抑えるコツは?
費用は、墓石の撤去・原状回復、遺骨の移動、改葬先の使用料などに分けて確認します。墓所の状況や契約内容によって変わるため、総額だけでなく見積もりの内訳を比べましょう。
鎌倉新書「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)」では、実際に改葬・墓じまいをした/している回答者の実施費用は「31〜70万円」が31.3%で最多でした。「いいお墓」の利用者を対象とする調査であり、全国平均ではありません。
調査対象や費用項目の詳しい説明は墓じまいの費用と内訳にまとめています。ここでは、家族との費用分担、管理者への返還条件の確認、石材店への見積もり依頼を手続きと並行して進めましょう。
今のまま維持?それとも墓じまい?
将来コストの比較シミュレーター
往復の交通費(電車・新幹線・車のガソリン代・高速代等)
わからない場合は3〜4柱が一般的です
高額な離檀料を請求されたらどうする?
寺院墓地の場合、お寺の檀家を離れる際にお渡しするお布施を「離檀料」と呼びます。
相場は5万〜20万円(法要1〜3回分程度)ですが、ごく稀に数百万円という高額な請求でトラブルになるケースがあります。
- 離檀料に法律上の支払い義務はありません(墓地、埋葬等に関する法律には離檀料の規定なし)。
- 高額請求された場合は、その場で支払いを約束せず、「親族と相談します」と持ち帰るのが鉄則です。
- 直接揉めてしまった場合は、市区町村の生活相談窓口・消費生活センター・弁護士に第三者として介入してもらうことで解決できることがほとんどです。
まずは何よりも、これまでの感謝の気持ちを込めて「誠意を持って話し合いをする」ことがトラブルを未然に防ぎます。
最初のご挨拶|電話・訪問前に使える文例
〇〇山△△寺 ご住職様
突然のご連絡、大変失礼いたします。〇〇家の□□と申します。 ご先祖様のお墓を長年にわたりお守りいただき、深く感謝申し上げます。
誠に恐れ入りますが、近年、後継者の問題や健康面の事情から、お墓の今後についてご相談させていただきたいことがございます。 決して急いでいるわけではありませんが、ご都合のよい日時にお時間をいただけますでしょうか。
ご迷惑をおかけして大変恐縮でございますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
墓じまいをしないとどうなる?放置した場合の3つのリスク
「いつかやらなければ」と思いながら先延ばしにすることで、以下のリスクが現実になります。
リスク①:無縁墓として強制撤去される
年間管理料を3〜5年滞納すると、多くの霊園・お寺の規約で「使用許可の取り消し」が定められています。官報に公告された後、墓石は解体され、ご遺骨は無縁仏として共同の合祀墓に移されてしまいます。
リスク②:子・孫世代に重い負担が引き継がれる
自分たちの代で解決しなければ、後継ぎのいない墓の問題はそのまま子や孫に丸投げになります。将来世代が「知らない親族のお墓の維持費」を毎年払い続けることになります。
リスク③:墓石が劣化・崩壊して近隣墓所を傷める
誰も手入れしないお墓は、目地が劣化し霜・凍害で墓石が傾きます。最悪の場合、地震などで隣接する区画の墓石を倒して損傷させ、損害賠償トラブルに発展するケースも報告されています。
60代・70代で計画的に進める方が増えています。元気なうちに動くことが、最も多くの選択肢を持てるタイミングです。
失敗しない石材店はどう選ぶ?見極めポイント5つ
墓じまいで費用差が最も大きいのが墓石の解体・撤去工事費です。全優石(全国優良石材店の会)の調査によると、同じ条件でも石材店によって最大2倍の価格差があります。
- 相見積もりは最低3社から取る(1社だけの見積もりは高すぎても気づかない)
- 全優石加盟店かどうか確認する(全国規模の品質基準を満たした認定店)
- 見積書に「一式」と書かれた業者は注意(内訳が不明確で後から追加料金が発生するリスク)
- 「撤去後の更地写真を送ってくれるか」確認する(作業完了の証拠になる)
- 霊園が指定石材店を持つ場合は、他社でも相見積もりできるか確認する(指定店のみの場合は金額交渉を試みる)
全優石加盟石材店は、全優石公式サイトから地域検索できます。
よくあるご質問
Q墓じまいの費用はいくらかかりますか?
Q墓じまいの費用はだれが払うのが一般的ですか?
Q墓じまいに補助金は出ますか?
Q墓じまいをしないと将来どうなりますか?
Q石材店はどうやって選べばいいですか?
執筆・編集
お墓のミカタ編集部
お墓をどうするかで悩む方に向けて、選択肢と判断材料を分かりやすくお届けすることを目指しています。記事内の法的手続きや費用に関する情報は、公的機関の資料や業界資料を参考に作成しておりますが、最新の情報は必ず各自治体・関連事業者にご確認ください。
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