「全員が納得できる答えは、最初からなかった」
兄弟3人で揉めに揉めて、それでも墓じまいできた話
R.Kさん
長女が始めた「タブーの話」
父が他界して4年後、岡山の実家を売却することが決まったタイミングで、私は兄弟LINEにメッセージを送りました。「お墓のことも、そろそろ考えなきゃいけないと思う」。
兄弟は私を含めて3人。長女の私は愛知、次男は東京、三男は福岡在住です。お墓は岡山市内の霊園にあり、父方の祖父母、祖父の兄弟なども眠っています。管理費は年間1万8,000円で、今は私が振り込んでいます。
返ってきた反応はすぐでした。次男から「なんで今それを言うの?」、三男から「先祖に失礼じゃないか」。一言で言えば、猛反発でした。
1年半の対立
そこから約1年半、家族の関係が冷え込みました。お盆に帰省しても、お墓の話になると険悪な雰囲気になりました。
私が調べた費用の概算は、墓じまい(撤去・閉眼供養・改葬許可)で約60〜80万円、新たな永代供養墓が1人あたり30万円前後。合計130〜160万円程度です。3人で割れば1人50万円前後。けっして安くない金額です。
次男は「そんな大金を出してまで墓を動かす必要があるのか」と言い、三男は「そもそも墓じまい自体が嫌だ」という立場を崩しませんでした。私は「じゃあ、あなたたちが管理するの?」と言い返し、LINEは既読無視が続く時期もありました。
決定打になったのは、実際に現地のお墓を3人で見に行ったことです。想像よりも荒れていました。草が墓石を囲み、花立ては錆びていました。三男が「これは……ひどいな」と言ったとき、初めて3人の目線が揃った気がしました。
最終的に選んだ答え
その後、お寺の住職に相談しました。「改葬することは先祖への裏切りではなく、後の世代が無理なく供養を続けられる形を選ぶことです」という言葉が、三男の心を動かしたようです。
結論は、岡山の墓を墓じまいし、ご遺骨は3か所に分けることになりました。私が愛知の永代供養墓、次男が東京の合葬墓、三男はそれぞれの手元供養を選びました。全員が「自分の近くで供養できる形」にしたことで、ようやく納得できたのだと思います。
費用は墓じまい部分で73万円。3人で割って1人約24万円を負担しました。
全員が完全に満足したとは言えません。でも「全員が納得できる答えは、最初からなかった」と今は思っています。対立した1年半があったからこそ、それぞれが本気で向き合えた。墓じまいは終わりではなく、家族がそれぞれの形で供養を続けるための、新しいスタートだったと感じています。
※ この体験談は、編集部が一般的なご相談事例をもとに再構成したものです。登場する人物名・地名・具体的な状況はすべてフィクションであり、実在の人物・団体等とは一切関係ありません。