墓じまい

独身・子なし・おひとりさまのお墓問題|3つの選択肢と自治体支援を解説

独身・子なし・おひとりさまが直面する「自分が死んだ後、誰が遺骨を管理するのか」問題を解決。3つのお墓の選択肢・生前予約の費用・エンディングノートの書き方・自治体の無縁墓支援まで網羅。

10分で読めます公開日: 2026.03.19

この記事の監修者

お墓のミカタ 専門アドバイザー

終活・お墓コンサルタント

目次

  1. 1.独身・子なしのお墓問題の深刻度——生涯未婚率25%超の時代に
  2. 2.独身者・子なしに向く3つのお墓の選択肢
  3. 3.生前予約・生前契約のやり方と費用
  4. 4.エンディングノートに書いておくべき「お墓の意思表示」
  5. 5.身寄りなし・おひとりさまが使える自治体の無縁墓支援制度

独身・子なしのお墓問題の深刻度——生涯未婚率25%超の時代に

「自分が死んだ後、誰が遺骨の面倒を見るのか」——この問いに答えられない独身者・子なし夫婦が急増しています。

2020年の国勢調査によると、生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚したことがない割合)は男性25.7%・女性16.4%に達しました。4人に1人の男性が生涯独身という時代です。

さらに、「結婚しているが子どもがいない夫婦」や「子どもはいるが遠方に住んでいて墓の管理を頼めない」というケースも含めると、「自分のお墓の後継者がいない」問題を抱える人は実際には3〜4割に上るとも言われています。

【独身・子なしが直面する3つの核心的な問題】

  1. 1誰が遺骨を引き取るのか:親族がいない場合、遺骨を引き取る人がいない
  2. 2誰がお墓を管理・維持するのか:墓石を建てても管理者がいなければ無縁墓になる
  3. 3誰が墓じまいをするのか:将来的に墓じまいが必要になっても、手続きをする人がいない

これらは「考えたくない問題」ではなく、今のうちに決めておかなければならない問題です。「決めずにいること」が、最も周囲に迷惑をかけることになりかねません。

独身者・子なしに向く3つのお墓の選択肢

後継者がいない状況に最も対応しやすいお墓の形を3つご紹介します。

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選択肢①:永代供養墓(合祀型・個別型)

霊園・寺院が永代にわたって供養・管理してくれるお墓です。後継者が不要な点が最大のメリット。

種類費用相場特徴
合祀型(ごうしがた)5〜30万円他の方の遺骨と一緒に埋葬。費用最安。
個別安置型30〜100万円一定期間(13〜33回忌など)個別に安置後、合祀
個別墓型50〜200万円永代供養付きの個人墓。最も丁寧な形式

向いている人:「遺骨をまとめてきれいに供養してほしい」「費用を最小化したい」方

注意点:合祀後は遺骨を取り出せない。永代供養の「永代」は「霊園が続く限り」の意味で、期限付きの場合も。[▶永代供養のデメリットと注意点](/guide/10)

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選択肢②:樹木葬

木や草花を墓標とする埋葬方法。都市部でも増加しており、永代供養付きが多い。

種類費用相場特徴
里山型10〜30万円山林の木の根元に埋葬。自然に還るイメージ
都市型30〜100万円霊園内の花木の根元に埋葬。アクセス良好

向いている人:「自然に還りたい」「宗教不問で選びたい」方

注意点:合祀型は取り出し不可が多い。墓参りの形式が一般墓と異なる

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選択肢③:散骨

遺骨を粉砕し、海や山林などに散布する方法。

種類費用相場特徴
海洋散骨(個別)15〜30万円業者チャーター。家族も同乗可
海洋散骨(合同)5〜10万円他の方と同日・同場所に散骨
山林散骨10〜30万円指定された山林に散布

向いている人:「お墓を残したくない」「自然に還りたい」「費用を最小化したい」方

注意点:散骨後はお参りする「場所」がない。遺族が受け入れられるか事前に確認が必要

生前予約・生前契約のやり方と費用

独身・子なし・おひとりさまが「自分のお墓・葬儀」を自分で決めておく方法が「生前予約・生前契約」です。自分の意思を確実に実現できる唯一の手段です。

【生前予約できること】

項目費用目安注意点
永代供養墓の生前契約5〜200万円申込金の一部を先払い。残額は死後精算も可
樹木葬の生前予約10〜100万円区画を確保し、自分の希望の場所を押さえられる
葬儀の生前予約10〜50万円葬儀内容・費用を生前に決定。家族への負担軽減
死後事務委任契約30〜50万円弁護士・司法書士・信託会社等に死後手続きを委任

【「死後事務委任契約」とは?】

独身・おひとりさまにとって最も重要な生前の準備の一つです。

「死後事務委任契約」とは、自分が死んだ後に必要な各種手続き(火葬・遺骨の処理・役所への届け出・公共料金の解約・家財の処分など)を、信頼できる人や専門家(弁護士・司法書士・社会福祉士など)に委任しておく契約です。

費用:30〜80万円程度(契約内容・業者によって異なる)

親族がいない場合や、頼める親族がいない場合に特に有効です。

【生前予約のメリット】

  1. 1自分の意思を確実に実現できる:後に残された人に「どうすればいいかわからない」という混乱を生まない
  2. 2費用の計画が立てやすい:現役時代に少しずつ積み立てることも可能
  3. 3家族・親族への負担を減らせる:「決めておいてくれてよかった」と感謝される
  4. 4宗教・式の形式を自分で選べる:無宗教・家族葬・直葬など

エンディングノートに書いておくべき「お墓の意思表示」

エンディングノートは法的効力はありませんが、「自分の希望を残す」ことで、残された人が迷わずに動くことができます。特にお墓・遺骨に関する意思は、必ず書き留めておきましょう。

【お墓に関して書いておくべき項目】

① 希望するお墓・埋葬の形式

  • 永代供養墓・樹木葬・散骨・一般墓 のどれを希望するか
  • 具体的な霊園名・施設名(すでに決めている場合)
  • 生前予約の有無・連絡先・契約書の保管場所

② 遺骨の取り扱いについて

  • 分骨を希望するか(一部を手元に残す、分散供養など)
  • 遺骨の引き取り者が誰か(いない場合は死後事務委任契約の担当者名)

③ 宗教・宗派の希望

  • 無宗教でよいか、特定の宗派を希望するか
  • 戒名・法名をつけてほしいか否か

④ お参りについて

  • 誰かにお参りに来てほしい人がいるか(友人・元職場の人など)
  • 命日に何かしてほしい希望があるか

【書き方のポイント】

  • できるだけ具体的に(「友人に任せる」ではなく「○○さんに連絡してほしい(Tel: XXX)」)
  • 書いた日付と署名を忘れずに
  • 定期的(1〜2年ごと)に見直して更新する
  • 保管場所を信頼できる人に伝える

エンディングノートはドラッグストアや文具店で購入できます(500〜2,000円程度)。また、市区町村が無料で配布しているケースもあります。

身寄りなし・おひとりさまが使える自治体の無縁墓支援制度

「お金がない」「頼れる親族がいない」という状況でも、公的な支援制度を利用できる場合があります。

【生活保護受給者・低所得者向けの葬祭扶助】

生活保護を受給している方が亡くなった場合、自治体が葬祭費を負担する「葬祭扶助」制度があります。

  • 支給金額:約20〜21万円程度(自治体によって異なる)
  • 対象:生活保護受給者、または生活保護受給者でなくても費用が支払えない場合
  • 内容:直葬(火葬のみ)の費用に相当する金額

【無縁遺骨の行政措置(民法・墓地埋葬法)】

引き取り手のない遺骨は、市区町村が「無縁遺骨」として扱い、公営霊園の無縁塚に合祀します。生前に意思表示がなければ、自治体が法律に従って対応します。ただし「行政に任せる」という選択は、本人の意思が反映されないリスクがあります。

【自治体の「おひとりさま支援」サービス】

近年、自治体によっては以下のような支援サービスを始めているところがあります:

サービス例内容自治体例
おひとりさま終活支援エンディングノート配布・相談窓口多くの市区町村
死後事務委任の斡旋NPO・社会福祉協議会との連携一部の自治体
低廉な永代供養墓の提供公営霊園に低価格区画を設置東京都・大阪市など
緊急連絡先登録制度身元保証人に代わる支援一部の市区町村

【相談窓口】

  • 市区町村の福祉課・高齢者支援課:まず相談するのはここ
  • 社会福祉協議会:終活・死後事務委任に詳しいケースワーカーに相談できる
  • 法テラス(日本司法支援センター):収入が少ない場合、弁護士・司法書士への相談費用を立替してくれる制度あり

[▶後継者なし・一人っ子のお墓問題と4つの選択肢](/guide/39)

[▶永代供養墓のデメリットと注意点](/guide/10)

よくあるご質問

Q.独身で子どもがいない場合、お墓はどうすればいいですか?

A.後継者が不要な「永代供養墓」「樹木葬」「散骨」の3択から選ぶのが基本です。中でも永代供養墓(合祀型)は費用5〜30万円と最も安く、寺院・霊園が管理してくれるため、独身・子なしに最も適した選択肢の一つです。

Q.身寄りがない場合、死後の遺骨の手続きは誰がしてくれますか?

A.生前に「死後事務委任契約」を締結しておけば、弁護士・司法書士・NPOなどの専門家が火葬・遺骨の処理・役所手続きを代行してくれます。何も手続きしていない場合は市区町村が引き取り、無縁塚に合祀されます。

Q.おひとりさまの終活で最初にすべきことは何ですか?

A.まずエンディングノートに「遺骨をどうしてほしいか」を書き、次に市区町村の福祉窓口か社会福祉協議会に相談するのがおすすめです。永代供養墓や死後事務委任契約の案内を無料で受けられます。

Q.生前予約したお墓の費用は相続税がかかりますか?

A.お墓(祭祀財産)は相続税法第12条により相続税の非課税財産です。生前に購入しておくと、現金・預貯金(課税対象)を非課税財産に変えられるため、節税効果があります。

Q.樹木葬を選ぶと、後でお参りできなくなりますか?

A.都市型樹木葬は霊園内の特定の木や花壇周辺に埋葬するため、通常のお墓参りと同様に訪問できます。里山型の場合は場所によってアクセスが制限されることもあります。契約時に参拝ルールを確認しましょう。

監修

お墓のミカタ 専門アドバイザー

終活・お墓コンサルタント

お墓掃除・墓じまいに関する情報を、一般の方にもわかりやすくお届けすることを目指しています。記事内の法的手続きや費用に関する情報は、公的機関の資料や業界資料を参考に作成しておりますが、最新の情報は必ず各自治体・関連事業者にご確認ください。

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